甲状腺とは

甲状腺のイメージ写真

甲状腺は喉ぼとけのすぐ下にあるもので、蝶のような形をした臓器です。ここでは甲状腺ホルモンが分泌されています。
甲状腺ホルモンは、全身の新陳代謝や成長促進にかかわるもので、人が活動するのに欠かせない力を与えてくれるホルモンでもあります。ただこのホルモンの血中濃度は多すぎても少なすぎても様々な症状を起こすようになります。

このような症状はご相談ください

甲状腺ホルモンが多い状態でみられる主な症状

  • 多汗
  • 食欲旺盛なのに体重が減る
  • 動悸や脈拍が早い
  • 下痢
  • 手指が震える など

甲状腺ホルモンが足りない状態でみられる主な症状

  • だるい
  • 無気力
  • 便秘
  • 冷え性(寒がっている)
  • 声がかすれている など

甲状腺内に腫瘤ができることも

このように甲状腺ホルモンのバランスが崩れてしまうことで発症する病気は甲状腺ホルモンが多い状態(甲状腺中毒症)、甲状腺ホルモンが少ない状態(甲状腺機能低下症)に分けられます。
また、ホルモンの値は基準範囲内でも甲状腺内に腫瘍ができる場合があります。
それぞれでみられる主な疾患は次の通りです。

甲状腺中毒症

  • バセドウ病
  • 無痛性甲状腺炎
  • 亜急性甲状腺炎
  • プランマー病 など

甲状腺機能低下症

甲状腺良性腫瘍

  • 腺腫様甲状腺腫
  • 甲状腺のう胞
  • 濾胞腺腫 など

甲状腺悪性腫瘍

  • 甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌)
  • 悪性リンパ腫など

甲状腺中毒症の代表的な疾患

バセドウ病

自己免疫疾患の一種で、甲状腺を刺激する抗体によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌することで起きます。女性の患者数が多く、その数は男性の4倍ほどになります。

バセドウ病によって甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると新陳代謝は盛んになります。そのことで、甲状腺中毒症状(動悸、息切れ、多汗、手指のふるえ、食欲旺盛も体重減少など)が現れます。眼球突出や心房細動(不整脈の一種)を招くこともあります。

甲状腺機能低下症の代表的な疾患

橋本病

バセドウ病と同様に自己免疫疾患が関係していると言われています。
発症のメカニズムに関しては、甲状腺の一部が自己免疫によって破壊され、それによって甲状腺ホルモンが減少している状態が橋本病です。

甲状腺ホルモンの分泌が不足することで、新陳代謝は低下していきます。
無気力になって頭の働きが鈍くなって忘れっぽくなることもあります(甲状腺機能の低下が認知症の原因となることがあります)。
そのほか、疲れやすい、顔がむくむ、寒がりになる、便秘気味といった症状も現れるようになります。
ただこれらの症状は治療(甲状腺ホルモンの内服薬)が必要な状態でも現れないことも多いです。

甲状腺腫瘍について

甲状腺内に発生した腫瘤のことを甲状腺腫瘍と言います。腫瘍には良性と悪性があり、甲状腺良性腫瘍には、腺腫様甲状腺腫、甲状腺嚢胞、濾胞腺腫などがあります。
悪性腫瘍には、甲状腺癌(乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌)、悪性リンパ腫があります。悪性腫瘍の主な症状ですが乳頭癌や濾胞癌では自覚症状はなく、未分化癌では結節が急激に大きくなり、発赤や疼痛もみられます。
また髄様癌は、硬い甲状腺腫がみられ、悪性リンパ腫は比較的急速な甲状腺腫大がみられることもあります。

このほか甲状腺の腫瘍がホルモンを産生し、腫瘍から甲状腺中毒症を示す疾患としてプランマー病(甲状腺機能性結節)があります。程度によってはバセドウ病に似た症状がみられます。